スケジュール管理

1,2年前からどんどん忙しくなってしまって、ブログを全然かけてませんでした。継続、というのは難しいですね。

忙しくなってきただけあって、スケジュール管理の方法を考えるようになりました。これまではgoogleカレンダーを使っていたのですが、これだと家族や仕事を一緒に進めていく同僚との予定共有にはなかなか使いにくい感じになってきました。googleアカウントを持ってない、そもそもスケジュールは手帳で管理する、というような方々とは難しいですよね。

で、今使っているのは"TimeTree"です。

timetreeapp.com

これだと、LineのIDを持ってる人(持ってなくても可)と簡単にスケジュール共有が可能になります。今まであまり感じてこなかったことですが、共有相手が抵抗なく導入できる、という要素はかなり重要ですね。

TimeTreeを使って同僚とスケジュールを共有することで、何度も聞き返さずに済む様になりました。インターフェースがわかりやすいのか、こういう分野にあまり明るくない家族もスケジュールを記入するようになりました。そうなると、子どもの歯医者の予約とかも嫁さんに相談することなく決めることができるようになるんですよね。当然なんですけど、すごいことです。今までどれだけスケジュール確認にどれだけの時間を割いていたのか。。。

これでPC(Web)からスケジュール閲覧や管理ができるようになるということ無いんですが。対応中ということなので楽しみに待ちたいと思います。

あとは研究テーマの管理の問題を解決したいなと思います。これについてはTrelloを試しています。

trello.com

これもいい感じだったらまたレポートしたいと思います。

 

考える事、手を動かすことのバランス

よく考えてから、調べてから実験をする。これはある意味では正しいと思う。ただ、考えすぎて、調べすぎてしまって実験してみようという気持ちが削がれてしまうケースも多々ある、とも思う。そして最近は、何にせよまずは一回実験してみるべきじゃないかと思い始めている。背景情報はよくわかっていないけれども、とりあえずやってみる。大抵うまくはいかないのだけど、そこでうまくいかない理由を考えて初めて調べてみる。そのほうが調べる目的もはっきりするし、調べたことが頭に定着しやすい。

バイオロジーの実験はお金がかかる。だから"とりあえず実験を"ということを言うとちょっと抵抗を示す方々いるのも事実だと思うし、僕もそう思う。ただ、経験上、勇気を出して一回実験をやってみることによって得られるものは、結構大きい物だったことが多い。

理想的には一回目の実験を可能な限り小スケールにし、コストを抑えつつ、最大限の成果が得られるようなデザインにするってことになる。事前調査をしすぎないと言っている手前、ちょっと矛盾しているように聞こえるけど、この考えることと手を動かすことのバランスが非常に重要なんだろうなと思っています。

正しい配列

久しぶりに書き込みます。

新しく組換タンパクを作りたいとき、cDNAをPCRで増幅するところからスタートしていました。多く発現していそうな組織のcDNA poolをテンプレートにして、制限酵素をくっつけたプライマーを準備して、、、というような流れのやつです。この作業も一昔前は自分で、ちょっとお金があれば外注でクローニング、というようなこともありましたが、近年はcDNAクローンのラインナップが非常に充実しているのでわざわざ自分でPCRで釣ってくるということはほとんどなくなりましたね。で、クローニングする際に気になっているのは、「何が正しい配列なのか」ということです。一般的にはRefSeq配列がレビューを受けた正しい配列であるとされています。がしかし、RefSeq配列でも複数候補があるケースが少なくありません。そんな時にどうやって候補を絞り込めばよいのでしょうか。

以下、対象遺伝子配列の取得から選抜までの手順を備忘録として書き残しておきます。もし、これを参考にされる方がいらっしゃったら、もっと効率的でコストのかからない方法はあると思いますし、より正しい考え方とかもあると思います。参考程度ということで読んでいただけたらと思います。

 

遺伝子情報の選抜

NCBIEntrezGeneから目的の遺伝子を検索します。例として、GAPDH (glycelaldehyde -3-phophate dehydrogenase)。

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HumanのGAPDHを対象とした場合には一番上のリンクをクリック。

遺伝子の情報がつらつらと並べられている中段辺りに"NCBI Reference Sequences (RefSeq)"という項目が見つかります。

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 ここに記載されているRefSeq sequenceを目的の配列としてクローニングを行います。ただし、ここには数種類のRefSeqが並んでいることが少なからず、あります。渡しの場合は、最も論文で使用されている配列は?という観点で考えて、google scholarでの検索ヒット件数を指標に選抜します。GAPDHのケースで行くと、、、

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NM_001289746:0件

NM_002046:3540件

というわけで、NM_002046をピックアップします。

配列情報の取得

NM_002046のリンク先には配列情報が載っています。この情報をDNA配列編集ソフト(ApEとか)で閲覧できる形でダウンロードします。

画面右上の"Send" > "Complete Record" > " File" > Formatは"GenBank" > "Create File"ボタンをクリック

とするとGenBankのフォーマットで対象ファイルがダウンロードされます。このファイルをApEで開くと配列情報に加えてORFの領域も簡単に見つけることができます(ApE上部ツールバーのplasmidのアイコン(Graphic Map))。このORFの配列を目的の配列としてcDNAクローンを探していきます。最近はOpenBiosystemsで探して丁度よい配列が見つからなければ、ちょっと高いですがOriGeneのほうで調達する、という感じです。他にもPromegaのFlexiCloneとか、旧invitrogenのUltimate~とかありますけど、どこかおすすめをご存知のかたいらっしゃらないですかね。コメントとかいただけると嬉しいです。

クローニング、試験のキット化

年末になると一度実験を閉じなければいけないということもあって、最近は仕事を細切れにできるクローニング作業を進めています。クローニングについてはどんどん新しいテクノロジーやらライブラリーやら委託やらが出てきているので、余り馴染みのない方からすると発現ベクターなんてささっと出来てしまうように感じるかもしれません。

たしかに便利だなぁと思うテクノロジーはあります。L社のGatewayとか制限酵素で切り貼りすることに苦手意識のある私としてはとてもありがたい技術です。でもこれって、メーカー囲い込み作戦にハマってるってことですよね。一旦あるメーカーの技術でクローニングを始めるとそのメーカーで取り扱うベクター間の組換が非常に便利になっているので、もう抜けられません。Gatewayにどっぷり浸かっている時に他のメーカーの便利そうなタグだとかプロモーターとかを見てもすぐに乗り換えようって気が起きません。だって制限酵素で切り貼りするの苦手なんですもん。

そういうことを考えると結局pUCとかpETとかで自分の好みのMCSを作っておいて、制限酵素で切り貼りしていく技術はなんだかんだで昔と変わらず必要なのかもしれないなぁと思う今日このごろです。

クローニングに限らず、いろいろな試験系がキット化されてしまってどういう原理で動いているのか理解しないままにきれいな結果を得ることができるようになってきました。ただ、結果は得られても、原理がわかっていないとその結果に対する考察は深まりません。

短期的な効率を上げることばかり考えず、長期的な視点でも研究を進めていけるようになりたいものです。

 

 

ApEでシーケンスアライメント

プラスミド構築には遺伝子解析ソフトが必須です。定番はGENETIXだったり、今だとVector NTIとかも使ってる方いますよね。こういうソフトウェアは結構高くて中々悩ましいところですが、こんな領域にもフリーソフトが存在しています。「ApE」、ご存じの方も多いのではないでしょうか。私も、Vector NTIからApEに切り替えて1,2年ほど使っています。DNAの解析に関しては十分な機能を有していると思います。基本的な操作はYoutubeにも出ていますのでそちらを参照していただくとして、


ApE(A plasmid Editor)を利用してプラスミドを設計する - YouTube

今日はシーケンス解析後のマルチプルアラインメントについて備忘録として残しておこうと思います。プラスミドを構築した際にはシーケンスで配列の確認作業をしますよね。この作業、結構めんどくさいのでなるべく楽に、かつ確実に作業したいところです。こんな時にもApEは非常に役に立ちます。

まず、ApEは.ab1ファイルの読み込みが可能です。

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で、対応するプラスミド配列(Reference Sequence) とそのプラスミドに対して得られたシーケンスデータをすべて開きます。そして、”Tools"→"Align Sequences" (or Ctrl+L)とするとアライメントをかける配列を選ぶ画面が現れるので、一番上の"Reference Sequence"からプラスミド配列を選択し、"Align to Windows"より対象の配列を選択し、"OK"。

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そうすると、アライメント結果が表示されます。

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一番上の部分がreferenceとしている配列でアンダーバーがついていればrefereceとシーケンス解析結果が一致している、ということになります。赤に反転している箇所はreferenceと異なることを示しています。当然、解析結果の方は最初と最後の信頼性はあまり高くありません。赤く反転した位置の波形が気になるところです。ここがApEのすごいところなのですが、気になる結果にカーソルを合わせると、、、

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なんとシーケンスの波形が現れます。これで、反転したDNAがポジなのか、ネガなのかを画面を変えることなく判断することができます。そして、この例では元々のテンプレートにta→gcの変異を入れたのですが、その箇所はアンダーバーがついておらず、ひと目で変異が入ったことを確認できます。

というように、ApEを使えば高いソフトウェアを買わずとも大体の事ができてしまいます。Youtubeでも紹介されていますがEnzyme Selectorも非常に便利な機能です。いろいろな方々がApEの使い方を公開されていますので、そちらを参考にすればより便利に使うことが可能になるでしょう。私も色々試してみたいと思います。

プレデター

Nature Newsの記事から

Humans are becoming more carnivorous : Nature News & Comment

人間の栄養摂取中の肉食の割合、肉食インデックスのようなもの、が上昇してますよ、というお話。当然、世界中の人々のインデックスの平均値が上がっている、ということなのですが、その内訳を見てみると、、、

ここ50年においてはインドと中国のみ上昇し、その他の地域では変化していない、というデータとなっています。何となくそうだろうなぁと漠然と感じていたことが実際に数値となった、というような感想です。このままだと人間は自然界の"トッププレデター"になっちゃうよ、と書かれています。

2006年のFAOの発表によると、畜産業は温室効果ガスの排出に関して18%を占めるほどの影響を与えるそうです。あらゆる問題は何らかの形でリンクしてきますね。逆に考えるとどこかの問題に画期的なアプローチが見つかると他の問題に対しても改善が見られる可能性があるのではないでしょうか。

食糧問題についてはミドリムシだったり、もっとざっくり昆虫食だったりのアイデアも出てきていますよね。バイオに携わる人間として、こうした方面の動きも気になるところです。

Pythonにさわる

本業は分子生物学の研究者なのですが、前々から興味があった、プログラミングに手を出しました。「R」は初心者向けの講習会などで触って、microarrayの一般的な解析方法などは学びました。Rの場合は統計解析も含めて研究に繋がるかなというところがあったのですが、今回のPythonは全くの興味だけです。そもそも出来るようになったところで何ができるのかすらわかりません。とりあえずの教材は、こちら。

 

基礎から始めるPython

基礎から始めるPython

 

 これ、kindle オーナーライブラリーに登録されているので無料で読める、というのが選んだ理由です。とりあえず、半分くらい読みながら、プログラムを書きながら、やってます。

取っ掛かりにいろいろ調べたんですが、初心者向け、とか言いつつもそのサイトはわからない用語の嵐だったりしました。僕みたいにプログラミングができたら何ができるのかわからない人ってたくさんいるような気がするんですが。これ系の本をいくつか読み終えることができれば少しは理解が深まって今の仕事にも生かせるような知識になればいいなぁと思って頑張ってみようかと思います。

こんな話もありましたし。

データ・サイエンスのプログラミング言語はRからPythonに置き換わる | ReadWrite Japan

ゲノムの配列情報やら、発現プロファイルや腸内細菌、omics解析から効率的にデータを取ってくることが重要と感じていながら、どこかでまだ個人レベルの研究者の話ではないなと他人ごとでしたから、小さいながらも一歩が踏み出せてよかったかな。